ストップ「集団的自衛権行使容認」④
「九条の会・わかやま」事務局 南 本 勲
安倍首相が容認を目指す「集団的自衛権の4類型」の問題点
集団的自衛権懇談会の4類型とは②
(2)米国に向けて発射された弾道ミサイルを自衛隊のMDシステムで迎撃する
安倍首相は「同盟国である米国が弾道ミサイルによって甚大な被害を被るようなことがあれば、我が国自身の防衛に深刻な影響を及ぼすことも間違いない。それにもかかわらず、技術的な能力の問題は別として、仮に米国に向かうかもしれない弾道ミサイルをレーダーで捕捉した場合でも、我が国は迎撃できないという状況が生じてよいのか」と言う。(5月18日の有識者懇談会における冒頭発言)
これは、「弾道ミサイルが日本向けか、米国向けかを区分することなく、日本のMD(ミサイル防衛)システムで迎撃せよ」という米国の要求に応えるものである。しかし、米国に向けて飛行する弾道ミサイルは、わが国への武力攻撃とは無関係である。従って、これを迎撃するということは、明らかに集団的自衛権の行使となる。
MDシステムの導入に当り、当時(03年12月)の福田官房長官は「MDシステムは、わが国を防衛するものであって、第三国の防衛に用いられることはないから、集団的自衛権の問題は発生しない」と述べている。本年7月10日、政府は「米国に向かうミサイルの迎撃は極めて困難である」という答弁書を決定している。技術的に無理なものを「研究」するということは、将来への下地を今から作っておこうという意図に基くものであると言わなければならない。
そもそも、米国に向けて弾道ミサイルを発射したら、その国がどんな事態になるのかは、容易に想像できることである。そんな事態を本気で考えている人は、防衛省や自衛隊にはおそらくひとりもいないだろう。この類型の「研究」は「為にする」議論と言わなければならない。また、米国に向かうミサイルを日本が迎撃するのなら、発射する国は、まず日本を攻撃するに違いない。いやでも日本が武力衝突に巻き込まれることになってしまうのである。そして、日本近辺を米国に向けて通過する艦船や航空機への攻撃を認める議論に発展するのである。
2007・09・05 「九条の会・わかやま」45号 (2)