ストップ「集団的自衛権行使容認」⑤
「九条の会・わかやま」事務局・南本勲
安倍首相が容認を目指す
「集団的自衛権の4類型」の問題点
集団的自衛権懇談会の4類型とは③
(3)多国籍軍による人道復興支援やPKOで共に行動する他国軍への攻撃に自衛隊が対処する
安倍首相は「国際的な平和活動における武器使用の問題である。例えば、同じPKO等の活動に従事している他国の部隊又は隊員が攻撃を受けている場合に、その部隊又は隊員を救援するため、その場所まで駆けつけて、必要とすれば武器を使用して仲間を助けることは当然可能とされている。我が国の要員だけそれはできないという状況が生じてよいのか」と言う。(5月1
8日の有識者懇談会における冒頭発言)これは「駆けつけ警護」と言われており、8月10日の懇談会で容認すべきとの意見が大半を占めたそうである。
しかし、これは「集団的自衛権」とは直接関係なく、「国際的な平和活動」を口実とした自衛隊の海外活動の拡大である。「PKO等」としているが、米軍を中心とした多国籍軍を想定していることは、安倍首相の言葉から考えても明白である。イラクでの活動に加え、アフガニスタンへの派兵も視野に入れたものである。明らかに「海外での武力行使」に当り、憲法違反なのである。 そもそも、海外で活動ができない自衛隊を、無理やりに法律を作って海外に派遣し、既成事実を作った上で、「我が国だけができないという状況が生じてよいのか」などと言うのは、国民を脅すものと言わなければならない。
(4)前線への武器輸送を認めるなど後方支援の範囲を広げる
安倍首相は「同じPKO等の活動に参加している他国の活動を支援するための、いわゆる『後方支援』の問題がある。補給、輸送、医療等、それ自体は武力行使に当らない活動については、
『武力行使と一体化』しないという条件が課されてきた。このような『後方支援』のあり方についても、これまでどおりでよいのか」と言う。(5月18日の有識者懇談会における冒頭発言)
しかし、これも「集団的自衛権」とは直接関係がなく、「これまでどおりでなく、範囲を広げる」とは、PKOなどの参加国への「武力行使と一体化しない」という要件を削除しようとしているのである。従来政府は「個別的自衛権を超える場合は、自国の武力行使が認められないだけでなく、外国の武力行使と一体化する行為も禁止される」という一体化論をとってきた。例えば、補給は後方の兵站基地から「前線」に武器や食糧などを輸送するものだが、「前線」は戦闘地域であり、明らかに「外国の武力行使と一体化」し、憲法違反なのである。
後方支援はどこでも一体化
今、自衛隊は「テロ特措法」によって、インド洋上でアメリカなどの艦船に燃料を補給しつづけ「無料ガソリンスタンド」と揶揄されている。「テロ特措法」の審議時の中谷防衛長官は「この地域は戦闘地域でないから、武力行使との一体化という問題は起らない」と答えた。しかし、インド洋の艦船からアフガニスタンに向けてミサイルが発射された場合は戦闘地域ではないのかという問題提起に対して。当時の内閣法制局長官は戦闘地域と認めたのである。
2007・09・15 「九条の会・わかやま」46号(2)