【九条噺】
マッカーサーに宛てた吉田茂元首相の46年12月5日付の未公開の書簡が米議会図書館で発見されたとのことである▼書簡は日本国憲法を「民主主義の原則に従って新しい日本が建設される際の礎として機能する」と称え、「憲法誕生に当たり貴官が示されたご助力とご支援に改めて御礼申し上げる」「平和を愛する諸国民の中で名誉ある地位を占める日が程なく到来するであろうことを切望してやまない」と述べているという▼毎日新聞6月14日付に辻井喬(堤清二)氏が、吉田首相のブレーンで遠縁にあたる白洲次郎氏から聞いた話として、「吉田茂さんは、経済が疲弊しているので軍隊を持たないで復興を為し遂げたいと考えていた」「吉田首相が思案しているときに、GHQから憲法草案の下書きメモがおりてきた。そこには戦力を保持しないと書いてある。向こうから言ってきたのだから、文句はあるまい、これでいこうと大喜びをした」と書いている▼この二つの話はよく符合する。憲法制定当時の日本国民は平和憲法を歓迎し、だれひとりとして押しつけられたと思っていなかった。吉田首相もまた然りである。吉田首相はマッカーサーとのやりとりを通じて日本の再生には「これしか道はない」と思っていたようだ▼それを今になって押しつけられた憲法と主張するのは、彼らの勉強不足とともに、「アメリカと海外で戦争ができるようにしたい」という本音を白日の下に曝すものだと言わなければならないだろう。(南)
2007年09月25日 「九条の会・わかやま」47号(1)