陰湿な隊内いじめも
なぜ、武器を扱う自衛隊に薬物がまん延するのか――。
元陸自隊員は「隊内の上下関係を利用した陰湿ないじめによるストレスなどメンタルな問題は大きい。私自身も上官の上下関係を利用したいじめにあって自衛隊をやめた。暴言や暴力に加え、スパイまがいの調査もやられた。許せないことばかりで、耐えられなかった」といいます。
防衛庁によると、一九九五年度以降、ことし八月末までに自殺した自衛隊員は七百十人(二〇〇五年度は八月末まで)。二〇〇四年度には九十四人と過去最高を記録しました。
原因として「借金苦」「病苦」「職務」「家庭」などが挙げられていますが、「その他・不明」がもっとも多い。隊内の問題がかかわっている可能性があります。
今回の集団汚染事件で、防衛庁は入隊後の隊員に対する定期的な尿検査導入の検討を始めました。しかし、問題はもっと根深い。元陸自隊員は「一般社会での薬物使用の広がりが背景にある」としたうえで、こう指摘します。
「イラクなど自衛隊の海外派遣も増えてきて訓練も激しいし、死の恐れも感じる。きな臭さと不安、そして隊内のいじめなどが薬物に走らせている背景要因の一つではないか」
2005年10月09日11時09分 しんぶん赤旗