憲法九条についての私の「異見」
「九条の会・わかやま」呼びかけ人・楠本熊一
(和歌山県立医科大学名誉教授)
②侵略に備え、ある程度の武力は必要。
それは憲法を改正しなくてもできる
今、憲法改正反対を言う人の多くは、戦争の悲惨さ、無意味さのみを強調して、侵略された場合の、無抵抗主義者の悲惨さ、惨めさ、或いは種族が滅亡させられるかも知れないと言う危機感について、語らないのは、侵略される戦争なるものを想像することさえ出来ないからであろう。
沖縄の悲劇を自分の悲劇として認識できないからであろう。無抵抗者を己等と価値観、慣習が違うからと言って虐めるのはいま、小中学校で行われているではないか。軍隊を持たない国が何処からも侵略されないと言う保証はあるのか。あの南米のインカ帝国が戦争したから滅ぼされたのではないことを歴史が明らかにしている。北米の原住民(アメリカインデアン)が戦争をしたから、白人に土地を奪われたのではないことも、歴史が明らかにしている。中でも北米のモヒカン族が北米東海岸にたどり着いた白人によって無惨にも滅亡させられたのである。それも、西部開拓者の英雄的行為として。私は国の安全と郷土の平穏を他の国に任せている国は日本以外には何処にもないと思っている。その意味では、日本は完全な独立国ではない。残念ながら昔からあった貢ぎ物を差し上げる属国と言う制度に近い関係に今の日本とアメリカとの関係があるのではないかと思う。それでも私は仕方がないと今は思っている。戦争に負けてから60年以上も経っているのではあるが。
しかし、それは恥ずかしいことだ思う人のために私見を述べよう。私は日本の国を守る(郷土としての日本列島を護ることではありません)のは現行の自衛隊に任せて自分達の郷土を守る自衛組織を早急に組織すれば、侵略者の侵入を思いとどまらせることは可能であると思う。これは憲法を改正しなくても出来ることである。
(つづく、見出し編集部)
2007・07・27 「九条の会・わかやま」41号(2)