九条噺
48号の「九条噺」は、一人の偉大な日本人のことを思いながら書いた。「ペシャワール会」代表の医師中村哲さんだ▼アフガンに近いパキスタンのペシャワールに拠点をおき、アフガンの東部山岳地帯などで難民医療を20年余り続けてこられた。中村さんたちの活動は、この間、医療分野だけにとどまらなかった▼アフガンは山岳地が多く、予算が日本の中都市並みの極貧の農業国。そのアフガンが近年、「テロとのたたかい」を口実にアメリカなどの武力攻撃を受け、全土が破壊されてきた。結果、夥しい人々が殺され、難民が急増してパキスタン国境にあふれている▼中村さんたちは日本で募金を集め、アフガンのジャララバードなどで現地の人たちと共に農地のための用水路や生活用水の確保など基盤整備などにも活動を広げている。中村さんによれば、アフガンの人たちは、日本が二度被爆したこと、日本は外国と戦争をしない国であることを知っており、だからこそ対日感情は良好で、故に安心して活動できたのだという。しかし、インド洋で海上自衛隊が米軍などに給油をはじめてから、一転身の危険を感じるようになったそうだ▼中村さんはいう。「アフガンで日々活動していると(国際貢献と)憲法9条がいかに深くかかわってきたかを痛感する」と。この言葉の重みを今一度かみしめてみたい。(佐)
2007・10・25 「九条の会・わかやま」50号(1)